今回は営業で使える心理学第4回として「フットインザドアテクニック」を紹介します。
目次
フットインザドアテクニックとは?
フットインザドアテクニックとは何か相手に要求を通したい時にまずは通りやすい小さな提案を通してそのあと段階的に要求を上げていくという方法です。
「1回だけやらして!」終わった後「もう1回!!」終わった後「最後もう1回!!これでほんとに最後にするから」
というのをやられたことや自分でもやったことある人いるのではないでしょうか?笑
「1回だけやらして」と最初に言っているものの結局何回もやっているというこれがまさに「フットインザドアテクニック」です。
フットインザドアテクニックの例
段階的承諾
まさに例で挙げた「1回だけやらせて」が「段階的承諾」です。
最初に低い要求を提示し、だんだんと要求をつりあげていきます。
他の例としては
「3000円貸してくれない?」→貸す
「やっぱり3000円だと足りないかもしれないから一応5000円貸しといて」→貸す
といったものや
「今お時間いいですか?5分くらいで終わると思いますので」
↓
結局話をしっかり聞いてしまい5分どころでは終わらない
といった方法があります。
無料のもの
無料のものもよく使われるフットインザドアテクニックです。
例えば1ヶ月無料キャンペーンや無料相談などです。
無料にすることで集客の受け皿を広げ、営業につなげていきます。
なぜ次の要求を受け入れやすくなるのか?
一貫性の原理
フットインザドアテクニックでなぜ次の要求を受け入れやすくなるかというと「一貫性の原理」が働くからです。
一貫性の原理とは「人は自分の行動に一貫性を持たせたい」という原理です。
何かの要求を受け入れたとしたら「私はこの人の要求を受け入れている(私はこの人の要求を受け入れる事に決めたんだ!)」という一貫性が生まれるので次の要求を断ったら自分がしている事に矛盾が生じるため(自分の行動に矛盾が生じる状態を心理的不協和といいます)、次の要求も受け入れてしまうという事です。
イエス誘導法
イエス誘導法とは何回か相手の言うことに同意するとその後も同意しやすくなるという心理を使ったテクニックです。
「NO」をつきつけるのって実はすごい精神的に負担がかかるのです。
「NO」をつきつけるということは相手と対立するということで、そのあとには必ず断った理由をつけないとカドが立ってしまいます。
なのでずっと「YES」と言っている方が人間は楽なのです。
そして一回「YES」と言うと脳が「YES」と言いやすいようにマインドセットされてしまいます。
脳は同じ動作を繰り返せばいいからです。
なので最初に受け入れやすい提案をして「小さなイエス」を貰ってしまえばその後も相手は同意しやすくなるという事です。
フットインザドアテクニックを実際の営業に落とし込む
段階的承諾
・少し時間よろしいでしょうか?
例で挙げたように終わる時間なんてわからないのにとりあえず「少ない時間で終わります」という事によって話を聞いてもらうひっかかりを作ります。
話を1回聞いてくれたらもうこっちのものであとは気の済むまで営業をすればいいのです。
・交渉の規模を大きくしていく
最初に「まずはお試しで注文してみてはいかがですか?お安くしますよ」とか言って小ロットの注文を受け入れてもらえたら、次回の注文の時に「気に入っていただけましたら発注数が多いほどお得になりますのでどうですか?」などと注文ロットを上げていくなど
無料のもの
「タダほど高いものはない」という言葉があるように「無料のもの」は最強レベルの営業テクニックです。
例えを挙げると、
・初回無料
スマホゲームの初回◯連ガチャ無料、電子漫画の1話目無料、脱毛初回無料・・・など
・1ヶ月無料
動画や電子書籍などサブスク1ヶ月無料・・・など
・相談無料
保険の相談窓口、美容整形、銀行のファイナンシャルプランナー相談無料、不動産売買相談無料
・お試し無料
無料お試しセット
などです。
なぜそこから営業に発展させやすいかと言うと「無料で使わせてもらってる」という負い目=「返報性の法則」があるからです。
「返報性の法則」とは「何かしてもらったら何か返さないと」と思う心理の事です。
ローボールテクニックとの違い
フットインザドアテクニックと同じ「入り口」のテクニックに「ローボールテクニック」というものがあります。
ローボールテクニックとは一言で言えば「見せかけの好条件」の事です。
受け入れやすい好条件を提示して相手に承諾させ、いざふたを開けてみたら好条件はなかったという状況を作り出します。
例えば「チラシの激安品」などです。
チラシに載ってた激安品を目当てに店に行ったものの実際には少数限定でもう置いてなかったり、そもそも元から置いてなかったりして結局別の物を買って帰る、みたいな事です。
フットインザドアテクニックもローボールテクニックも受け入れやすい条件を最初に提示する「入り口」の戦略なので違いがわかりづらいですが、
フットインザドアテクニックは低コストの条件の提示なのに対してローボールテクニックは架空の好条件の提示なので「騙し」の割合が大きいです。
なのでローボールテクニックはクレームに発展する可能性をはらんでいます。
なので実際には経営者などがローボールテクニックを使った「仕組み」を作って実際にオペレーションするのは雇っている現場のスタッフといった使われ方が多いように思います。
フットインザドアとドアインザフェイスどちらを使うのか?
フットインザドアと使用法が全く逆で最初にあえて高い要求を出してその後に要求を下げる「ドアインザフェイス」という方法があります。
この両者どちらを使うのかは「相手の買いそう具合」で決めます。
相手がもう何かしら買うことは決まっているのであれば始めに高い要求を提示する「ドアインザフェイス」を
相手が箸にも棒にもかかってない相手であれば「フットインザドア」でまずは受け入れやすい要求を提案してみる。
という使い方が効果的だと思われます。
参考図書
まとめ
今回は営業で使える心理学第4回目として「フットインザドアテクニック」を紹介しました。
フットインザドアテクニックとはまずは相手が承諾しやすい提案を通してそこから段階的に要求を上げていくという方法で、実際の使い方としては「段階的承諾」と「無料のもの」を使う方法がありました。
フットインザドアテクニックは営業の「入り口」の戦略として使うことができ、まずはハードルの低い営業を幅広く行い、高いクラスの商品を購入してくれる潜在的な見込み顧客を探る事ができます。
つまりフットインザドアテクニックは「不特定多数」を対象とした時に使えるテクニックだと考える事ができそうです。