今回は営業で使える心理学第6回目として「ローボールテクニック」を紹介します。
目次
ローボールテクニックとは
ローボールテクニックは一言で言うと「見せかけの好条件」を使ったテクニックです。
先に見せかけの好条件を提示して提案を受け入れたらその好条件を撤回するという方法です。
「え、後から好条件撤回したらただの詐欺やん」となると思うのですがその通りで、ただあからさまに好条件を撤回するとクレームが多発してしまうので、相手が条件を受け入れてから後から「いくつかの条件付きで好条件になる」と知ることになるとするパターンが多いです。
ローボールテクニックの例
大特価
・先着○名大特価とチラシで見たので行ってみたところ、もうすでにその商品はなく(ほんとに存在したのかはわからない)、せっかく来たので普通の値段の商品を買って帰る
・店内30%オフとなっていて安いと思ってレジに持って行って会計したがなぜか割引になっておらず店員さんに聞いたところ「申し訳ありませんがこの商品は割引対象外となっております」と言われ、もう会計してしまったし引っ込みがつかなくなって「まあいいか、欲しい商品だし」とそのままにしてしまう
など
始め無料で一定期間後からから自動課金
・「家族会員無料」とあるので登録し、クレジットカードの登録だけはして下さいとしてあった。1年後のクレジットカードの明細を見るとなぜか会費が引き落とされており、電話問い合わせしたところ「家族会員の方は1年ごとに申告が必要になっております」と言われた
・新規登録後1ヶ月間無料とあったので登録してサービスを使っていたが1ヶ月以内に登録解除するのを忘れており、サービスも便利だからとそのままにしてしまう
など
最初に言っていた雰囲気とは違う
・「ちょっと仕事手伝ってもらえるかな?」と言われたのでちょうど手が空いていたので了承したところ、いざふたを開けてみるととても大変なプロジェクトに参加させられたが自分で了承したので断れずにそのままプロジェクトに参加している
・「ちょっと仕事手伝ってもらえるかな?」と言われたのでちょうど手が空いていたので了承したところ、いざまかされた仕事はとてもすぐ終わるような量ではないが、了承した手前今からは断りづらいのでしぶしぶやることにした
見せかけの好条件
・いろんな取引手数料が無料だからとメインバンクにしようと思い口座開設をしたが手数料無料にするには「証券口座の開設」や「月末の預金残高○十万円」とか「給料振込み口座にする必要がある」とか色々条件付きだった
・アウトレットと聞くとなんだか割安そうなので遠くまで運転してきてみたがどれも聞き慣れない通常のラインとは違う服のタグ「アウトレット専用商品」で値段も安いのか高いのかわからないがせっかく遠くまで来たのでとりあえず買って帰る
ローボールテクニックが有効な理由
一貫性の原理
ローボールテクニックが有効なのは「一貫性の原理」が効くからです。
一貫性の原理とは「人は自分の行動に一貫性を持たせたい」という原理です。
何か要求を承諾したら条件が変わろうとも「要求を受け入れている」という一貫性を通そうとしてしまいます。
例であるようにせっかく来たので、引っ込みがつかなくなって、登録解除するのを忘れており、サービスも便利だから、自分で了承したので断れずに、了承した手前今からは断りづらいといった状況になってしまうのです。
フットインザドアテクニックとの違い
ローボールテクニックと同じ「入り口」の戦略に「フットインザドアテクニック」というものがあります。
フットインザドアテクニックは最初に低い要求を相手に提案し、その後に要求を上げていくといった方法です。
どちらも最初に好条件を提示する「入り口」で使えるテクニックですがローボールテクニックの場合、見せかけの好条件なので「騙し」の割合が大きいです。
なのでローボールテクニックはクレームに発展する可能性をはらんでいます。
なので実際には経営者などがローボールテクニックを使った「仕組み」を作って実際にオペレーションするのは雇っている現場のスタッフといった使われ方が多いように思います。
ローボールテクニックで自分が騙されないためには?
ローボールテクニックの罠に自分がはまってしまうのを回避するためにはまずはこの「ローボールテクニック」がどういったものであるのかを知っておくだけでも回避できるようになります。
「あ、これローボールテクニックだな」と思ったら「撤退した方が得なのか」「そのままにするのか」を考えるようにします。
「ローボールテクニック」を知らない人の場合「サンクコスト効果」によって「撤退する」という行動がどっかに抜けてしまうのです。
サンクコスト効果とは今まで費やした時間や労力が惜しくて撤退できなくなる効果です。
撤退したほうがいい場合は「騙しの割合」が大きい場合です。
明らかにこちらを騙しに来ている場合は感情論的にも「撤退」もしくは「クレーム」を言うようにしましょう。
参考図書
おわりに
今回は営業で使える心理学第6回として「ローボールテクニック」を紹介しました。
ローボールテクニックはさりげなくかなり頻繁に使われているテクニックです。
使い方としては始めにローボールテクニックを使った営業システムとして構築し、運営していくという使い方がいいかと思います。
「騙し」の割合が大きいテクニックですのでトラブルになった際の対処法もシステムに組み込む必要があるかと思います。
逆に企業が頻繁に使うテクニックでもありますので、自分がローボールテクニックの罠にはまってしまわないように気を付ける必要があります。